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	<title>無慈悲　ログ庫</title>
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	<description>ツイッターの短文とか即興小説とかまとめ</description>
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		<title>小ネタ詰め（雑多/ほとんど真東）</title>

		<description>（山小鞠）

「なんや買わされるんかと…</description>
		<content:encoded>
			<![CDATA[ （山小鞠）

「なんや買わされるんかと思うた。」

　練習用の周回コースを大きく外れた駅前のデパートへ、連れてこられたものだからついそう思った。

「いやだな、先輩。トイレを借りたかっただけですよ。」
「道の途中にあるやろ。公園の。そういうん考えてコース決めてんのやから。」
「……ああいう公衆トイレってボクはちょっと。」

　風変わりな一年生が入ってきたとは去年の御堂筋に対しても思ったが、今年の一年もやっぱりどこかおかしかった。岸神小鞠。髪をだらだら伸ばして女みたいなやつや。俺は先輩やから、入部したての新一年に練習コースを覚えさせて、それから学校まで連れて帰らないといけない。
念入りに手を洗う後ろ姿を手持無沙汰に見ていると、石鹸、と小鞠が不意に言葉を発したので、ぼーっとしていた俺は何と聞き返す声が少し裏返った。

「この建物６階にLushが入ってるじゃないですか？だからどのフロアにもあそこの石鹸が置いてあるんですよね。そういうのって得した気分。」
「ごめん、お前がなに言うてるんかようわからん。」
「手を洗うの、趣味なんですよ。」

　へぇ……、そうなん。俺が気の利かない相槌を返してそれっきり会話が止まった。他に、何と言っていいのか分からんし。小鞠のぴかぴかの爪先が洗面台へ水滴を払うのを俺は黙って見届けて、この男は苦手やな、と思う。コミュニケーションは諦めて帰りはあまり関わらずに帰ろう。そういう風に決めて、俺が背を向けて歩きだそうとする瞬間だった。

「あ、やっぱり買ってください。先輩。」

　ハンカチ。水を払った手を眺めて小鞠が見上げている。半分濡れている手のひらをジャージに擦ることも無く途方に暮れた顔だ。俺の背中のポケットにはタオルの端が折って突っ込まれてはいたが、公園のトイレを使えんのと同じ理由で、こいつには使われんのやろなと思った。



----------------------------------------------------------------------------------------------------------

享年１５歳（真波とその母親と）

「あなたのせいで山岳が死んだの？」
事故が原因で命を落とした真波山岳の葬式で、参列者の顔を覗き込んで順番に訊ねて行く母親の姿は凄まじかった。中には、詰問が自分の番へまわってくるのが恐ろしくて、焼香の前に席を立ってしまう者もいたくらいだ。

「あなたのせいで山岳が死んだの？」
「いえ」
「あなたのせいで山岳が死んだの？」
「いいえ」
「あなた」
「はい」

俯きつつ、それぞれが首を振っていく中で、東堂だけが首を縦に振ったのだ。
周りが唖然としたのもつかの間、甲高い叫び声をあげて掴みかかる母親の長い爪が東堂の目を永遠に傷物にして、場は騒然となったのであった。

「馬ァ鹿、東堂。聞き流してりゃよかったのによ。」

お前までそうなることはなかったんだ。「お前まで自転車に乗れなくなることはなかった」荒北の言葉はそういう意味だ。
真波は事故が原因で死んだのだ。事故による怪我で、腰から下の神経を生涯失ったことを苦にする自殺だった。「俺って治るんですかね？」見舞客のひとりひとりに真波はすがる様に訊いていた。

「いや、アレは俺が殺したのだ。」

じゃあ、俺死んだ方がいいですね。結局、真波はそう結論付けた。真波の言葉に東堂は真摯だったのだ。

「俺は嘘がつけないからな。」


----------------------------------------------------------------------------------------------------------

骨と肉（真波と東堂）

 「東堂さーん、見ててください」

　少し離れた道路の向こうから真波が手を振ったので東堂は振り向いた。
ちょうど車が来ていて「危ないな」と東堂は思ったのだが、見晴らしも良い通りのことであったし敢えて注意もしなかった。なにをする気だろう、そんな顔でなりゆきを見ていた。
真波が、まさか死ぬとは思わなかったのだ。東堂さん、と手を掲げた笑顔のまま真波は車にはね跳ばされて、空中でくるりと半転し、それから地面で２、３度バウンドした。そうしてそれっきりだった。どこか得体が知れないような気がする真波山岳という人間も、たかだか16歳の肉と骨なのだった。
あれから東堂はよく振り返る。
不意に歩く足を止め、通りのむこうに目を眇めている。おそらく東堂には、真波の最後の姿が見えていて、忘れられない景色としてこれからも多分続くのだ。あの日「見ててください」と言った真波が見せようとしたものは案外、そんなものなのかもしれなかった。

----------------------------------------------------------------------------------------------------------

お星さまはとおい（真波と東堂）


　真冬の明け方も近い3時5分、東堂の部屋の窓ガラスをノックする真波の鼻の頭は赤い。

「お前ここ２階だぞ。」

　先程からキイキイ音をたてていたのはこれか、と真波の伝ってきたらしい雨どいを気遣わしげに東堂は見た。梯子など掛かっていない二階の窓が、それもこんな夜中に、外からのノックで揺れたときには心底肝が冷えたものだが。責める口ぶりの東堂を無視して真波は窓から半身乗り出して、部屋の空気を嗅いでいる。窓を上るために外したのか、それとも初めからそうなのか、手袋をつけていない素手だった。東堂はさりげなくエアコンの温度を少し上げた。

「東堂さん、一緒に行きませんか？」
「どこに？」
「星」

　真波の応えはいつもこんな風に少しずれていて、それは彼の一風変わったような感受性のせいなのだが、真波がきちんと噛みあう形で答えを返すことは少なかった。東堂が真波の意図を正しく汲んでやれたのは、東堂が敏く察しがよかったからと、数日前から繰り返される天気予報の内容を覚えていたからだ。
　明け方にかけて双子流星群が近づいているらしい。
はぁ、と深いため息が部屋の中に散らばってしんと吸い込まれていく。

「支度をする。一度中に入れ……上着と手袋を貸してやろう。まったくお前は……、」
「あ、東堂さん違う違う。」

　クローゼットにあるコートに貸せるものがある筈だと背を向ける東堂の腕を、真波は掴んだ。

「こっちから。」

　瞬く間もなく強くうしろに引かれた。東堂の腕を掴んだまま真波は雨どいを離したらしい。窓枠の外へ体が抜け出したのを、周りの空気の冷たさで東堂は感じだ。こんな風に肝を冷やすのは今夜は二回目だ。ふわりと胃が浮く。



　落、

　　　ち
　る。


　落下の瞬間のひやりとした時間は一瞬で、すぐに地面に叩きつけられる。仰向けに空を仰いだまま暫くは衝撃で言葉も出ない。傍らで同じように横たわる真波が弾かれるように先に笑った。

「死なないや。」
「ここ２階だぞ…。」

　空を向いて白い息を吐く東堂の視界の端を星が流れていった。あはははは、高い声で真波が笑っている。

「さみしいよ、東堂さん」

来週、東堂はイギリスへ渡る。
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		<dc:subject>-</dc:subject>
		
		<dc:date>2015-05-23T20:46:21+09:00</dc:date>
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		<title>とある地方の骨なし審神者（とうらぶ/石切丸×女審神者）</title>

		<description>
　とある地方…豊後でも備前でも構いませ…</description>
		<content:encoded>
			<![CDATA[ 
　とある地方…豊後でも備前でも構いません。あるいは山城、とにかくそんなところに配属された審神者の私は一目見たときから石切丸さんに並ならぬ情欲を抱いていたのでした。
　石切丸さん、刀をそんな風に呼ぶのはおかしいでしょうか。ですが私は、彼の仮姿にあまりに心を奪われすぎました。あれこそ私の理想の男。そう思えばもう他の有象無象と同じように彼を呼び捨てることができなかったのです。物腰の柔らかで一際大人びた彼を、私は愛情をこめて「石切丸さん」あるいは「石切丸先生」と呼んでいました。

　先生と交接を結んだのは、卯月のことです。ええ、私がこの地に赴任をしたのが年明けの頃でしたから四月程は我慢をしたのです。節操がなかったのは他の刀たちです。人の身を得た途端に、彼らは浅ましい猿真似をして、いつしか、人であれば性交とでも呼ぶべきまじわいをするようになったのです。
そんなにも人として過ごす世は退屈でしょうか。でもこれは他に娯楽を持ちこまなかった私の、審神者としての配慮が足らなかったということなのかもしれません。その件については定例の会議の折りにでも、他の任地の審神者に恥を忍んで訊ねてみようかと思います。
　さて、許せないのはあの脇差。いいえ、太刀にも打刀にも先生と枕を交わしたものがいたようです。石切丸先生はもののよくわかった大人の方でいらっしゃるから、社交の範囲で彼らの誘いを受けておられたようです。あくまで優しい方なのです。
　悔しい思いを、しました。彼らに人の身を与えたのは私であるというのに、その私だけが節制を保たねばならぬとはどういうわけでしょうか。私は晩にも先生のもとへ急ぎました。
もちろん恥じらいもためらいもありました。私が彼ら、刀剣らに命を下せるのは職務の為でありましたから、こういうことを口にするのは職権の乱用というように思えたのです。
ですが、石切丸さんは優しい人でした。おおらかな笑みを浮かべて、そして少しいたずらっぽくもある目を輝かせてこう言ったのです。

「どうなっても知らないよ。」

　恐ろしいことは翌朝にも起こりました。夜明けにかけ私は夢を見ていたのですが、その夢のなかで私はなにか大勢の影に取り囲まれていて、それらがかわるがわる私の顔を覗きこんでなにか物を言うのでした。なにを言っていたのかはわかりません。しかしそれを聞いた途端、私は罰を待つ罪人のように震えだし、恐怖で息もできなくなったのです。……あれは人には聞けぬ言葉なのやもしれません。とにかくそのとき私はもう『やってはならないことをした、やってはならないことをした。』とそれを思うばかりで、ただただ汗を流し怯えておりました。
　そうしてただならぬ苦痛に私が目を覚ますと、もうじっともしておれぬ激痛が体中を走りまして両手の骨なんかは関節のひとつひとつで折れてぐにゃぐにゃの蛸のようなのでした。

「石切丸さん、石切丸さん」

　私は泣きそうになって呼びました。いえ、思い返せばあまりの痛みに得体も無く泣きじゃくっていたような気がします。石切丸さんは、落ち着いた様子で朝寝の布団から起き上がると私の背をさすってくれました。そうして眠たそうな目をして私に教えてくれたのです。

「ああ、それは神罰だろう。」

　私は唖然と致しました。この恐ろしい仕打ちが神剣を穢した罰。先晩、先生が『どうなってもしらないよ』と囁いたのはこれのことだったのかと。あとからよく聞けば、彼と交わったものはみな、例外なくこうした無残な姿で朝を迎えるのだそうです。ただ違ってしまったのは、私の身体は刀剣たちの仮姿とは違うということ。血と肉でできているということでした。

「そら、君も手入れ部屋にいってきた方がいい……審神者に…ああ、審神者は君だったね。治せるんだろう？」

　笑ってしまいました。どんなに賢げな成人の姿をしていても、所詮は知恵の持たない鉄くれだったもの。私の体が砥石や木炭でできているわけではないことを、先生はまるで思ってもみないのですから。
私が骨なし審神者とあだ名されているのはそういうわけです。

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		<dc:date>2015-05-23T20:22:17+09:00</dc:date>
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		<title>*企画参加作品（金福）</title>

		<description>汐田医院様のこちらの企画に参加致しまし…</description>
		<content:encoded>
			<![CDATA[ 汐田医院様のこちらの企画に参加致しました。
http://privatter.net/p/717098

「同一の文体をそれぞれが自分の文体で書き起こそう」という企画です。
↓

＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿

L系統は県外から高速を使い空港へ向かう長距離区間用のバスで、S系統はそれより短い区間、首都エリアに入ってから目的地を同じく空港までのショートコースを走る。
終着地点が空港ということもあってか元々通勤や通学よりは、帰省や旅行者に使われるバスなのだった。午前11時30分、休日の朝を少しのんびりと過ごしてしまってようやくこの時間にバスに乗った……車内はそんな怠惰で急がない乗客で混みあっていた。

あの荷物はこれから帰るところだろうか、それともどこかへ行くところだろうか、周囲の人々の行き先をぼんやりと思いやっている金城は今年で24歳になる。実家は千葉の市川のあたりにあったが、静岡の大学を卒業してそのまま住まいの近くに仕事を決めたので今もそちらの方に住んでいる。
学生の時分に慣れ親しんだロードバイクは今も彼のライフワークで、勤めに出てからも休日は山沿いの舗装路を何十キロも走るものだから、ただの会社員にしては体格が良い。
気遣わしげに腕時計を確認した金城の肩甲骨の動きに合わせて、シャツの背中がピンと張った。いささか彼にはキツいのかもしれない。見れば襟元のボタンも一つ外している。

「時間通りに駅に着くと思うか？間に合わなかったら笑い話じゃ済まないな……。」

笑い話では、と言う割に十分笑いを滲ませて金城は隣を振り返った。頭髪を眩しいくらいの金髪に染めた若い男が憮然とした顔で応えていた。

「自業自得だろう。」

若い、といったが齢でいえばこの金髪の男も金城と変わりない。ただ隣に立つ金城が老成して見えるのと、引き結んだ唇を少し付き出すような、どこか拗ねた子供のような表情をしているのが実際より彼を幼くしていた。

「間に合わなかったら、どうだ。このままお前とどこか行ってしまおうか。」
「馬鹿。」

少しばかり目を細めて可笑しそうに金城が言い、連れの男は辛辣に言い捨てた。けれど結んだ口許が少し緩んで、悪く思っているわけではないのが見てとれた。
しばらくしてバスが停車し、目の前の席がひとつ空いたがふたり並びあったままどちらも動かなかった。


男の見送りがあったのは空港までで、２時間後の静岡駅には金城はひとりで降りた。
駅前のロータリーには友人が迎えの車を付けてくれたいたが、金城を一目見るなり舌打ちをした。

「タキシードってのは首まで隠れんだろうなァ」

短い黒髪を掻きむしって、忌々しげな手振りで指先が胸元に突きつけられる。

「たァく、明日嫁さんもらう男が前の女とヤり収め旅行とはよ！なぁ、ボタン閉めとけよ。気ィ遣うぜ、ったくよォ……。」


＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
(元文)
S系統のバスのなか、混雑する時間。ニット帽をかぶった二十歳過ぎぐらいの男、帽子の端には小さな蛇の刺繍が入っている。スポーツをしているのか体格は良い。客が乗り降りする。隣に立っている金髪の男に何かを囁く。金髪の男はそれを咎める。辛辣な声を出そうとしているが、どこか甘えたような口調。目の前の席があくが二人とも座らない。
　二時間後、静岡駅の新幹線改札口前で、その男をまた見かける。連れの男（先程とは違う黒い髪の男である）が彼に、シャツのボタンを付けるよう言っている。男の胸元を指差し、その理由を説明する。 ]]>
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		<dc:subject>-</dc:subject>
		
		<dc:date>2015-05-23T20:16:34+09:00</dc:date>
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		<title>ツイートまとめ</title>

		<description>2015-03-22 のへし宗ツイートまとめ

食…</description>
		<content:encoded>
			<![CDATA[ 2015-03-22 のへし宗ツイートまとめ

<blockquote class="twitter-tweet tweet-no-0" lang="ja" data-conversation="none" align="left"><p>食事の席に一度も顔を出さない宗三のことを「あいつは何をしているんだ」と苛々した様子で呼びにいこうとする長谷部を引き留めて「あれは籠で大事にされるのが好きだから食事も弟に運ばせているんだよ」と教えるとちょうど小夜が小さな身で慎重にお盆を運んでいくところで長谷部は呆れた顔をした<br></p>&mdash; 桃色テクノ(@momoirotechno)<a href="https://twitter.com/momoirotechno/statuses/579652508634591235">Sun Mar 22 14:35:02 +0000 2015</a></blockquote><div style="clear:both;"></div>
<blockquote class="twitter-tweet tweet-no-1" lang="ja" data-conversation="none" align="left"><p>「あれは火事になっても自分では歩きもしないね」と言う私に複雑そうな目で「はぁ、」と曖昧な返事をうつ長谷部であったが、ある晩本当に火事が起きたので他の者を叩き起こしながら本丸の一番奥の宗三の部屋までいったのだった。<br></p>&mdash; 桃色テクノ(@momoirotechno)<a href="https://twitter.com/momoirotechno/statuses/579654207822696449">Sun Mar 22 14:41:47 +0000 2015</a></blockquote><div style="clear:both;"></div>
<blockquote class="twitter-tweet tweet-no-2" lang="ja" data-conversation="none" align="left"><p>駆け付けた長谷部が、すぐ逃げるように宗三に言うと宗三は少し躊躇って「おぶってくれないと、歩けません」とのことだった。それで長谷部はカッとなって戸を開けておくから勝手にしろと言い捨てその場をあとにした。なにしろ負傷者もまだ小さい短刀もいたし、大の男に貸してやる手は空いてなかったのだ<br></p>&mdash; 桃色テクノ(@momoirotechno)<a href="https://twitter.com/momoirotechno/statuses/579655175855476736">Sun Mar 22 14:45:38 +0000 2015</a></blockquote><div style="clear:both;"></div>
<blockquote class="twitter-tweet tweet-no-3" lang="ja" data-conversation="none" align="left"><p>騒ぎが収まり皆があらかた庭に集まったところ、小夜が小さな風呂敷包みを抱えてくすん、くすん、と泣いているのに気がついた。よほど火が怖かったのだろう。それにしてもとっさに手周り品を持って逃げる頭があったのだ。「大事なものが無事でよかったじゃないか」せめて励ますつもりで長谷部は言ったが<br></p>&mdash; 桃色テクノ(@momoirotechno)<a href="https://twitter.com/momoirotechno/statuses/579656117048868864">Sun Mar 22 14:49:22 +0000 2015</a></blockquote><div style="clear:both;"></div>
<blockquote class="twitter-tweet tweet-no-4" lang="ja" data-conversation="none" align="left"><p>小夜が黙って開いた風呂敷の中身を見て絶句した。風呂敷の中には、足首がふたつ、ずいぶん前に肉体から切り離されたのだろう腐りかけてはいたが長谷部はそれに巻かれた数珠のような装飾品から『宗三の足首だ』と直感した。<br></p>&mdash; 桃色テクノ(@momoirotechno)<a href="https://twitter.com/momoirotechno/statuses/579656876209532928">Sun Mar 22 14:52:23 +0000 2015</a></blockquote><div style="clear:both;"></div>
<blockquote class="twitter-tweet tweet-no-5" lang="ja" data-conversation="none" align="left"><p>煙の中に切れ切れの「おぶってくれないと、歩けません」という宗三の声が長谷部の耳の中に今一度しっかり聞こえた。<br></p>&mdash; 桃色テクノ(@momoirotechno)<a href="https://twitter.com/momoirotechno/statuses/579657070854565888">Sun Mar 22 14:53:09 +0000 2015</a></blockquote><div style="clear:both;"></div>
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		<dc:subject>-</dc:subject>
		
		<dc:date>2015-04-21T20:52:14+09:00</dc:date>
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		<title>モラルの葬式（モブ巻）</title>

		<description>　相手を選ばないセックスはおなじみの物…</description>
		<content:encoded>
			<![CDATA[ 　相手を選ばないセックスはおなじみの物で、巻島は歪を自覚している己の裸を前に硬くなれるペニスがあるのならなんでも良かった。今日のは兄の友人で、巻島の家で初めて顔をあわせたときにピンときた。―セックスができる。
　自分たちのようなタイプ……と巻島が思っている輩には、大体そういう嗅覚が備わっていて、モラルや愛情の外で性行為ができる人間のことはお互いなんとなくわかるようになっている。案の定、兄の中座の隙に「連絡先を教えて」と耳打ちされたのはその日のうちで、それから３日と経たずに巻島はホテルに赴き、性交をした。
　性器のデカさと、意外にサドっ気が強いのが気に入って、会うのは今日で８回目になる。


「そういえば彼、小野田くん。可愛がってるんでしょ。ああいう幼い感じのがタイプ？」
「レース見に来てたのかァ？暇なやつっショ……。」

　ベッドの上にあげられて、お互いとうに丸裸になっている。慎ましく一枚ずつ服を剥いでいく貞淑さは巻島にはなくて軽く汚れを落としたバスルームから殆ど裸のまま出てくるのが常だ。
長い舌を突き出して根元までずるずると啜ってもらう下品なキス。その合間に待ちきれないように男のペニスに指を絡ませる。そこからオーラルで愛してやるのも巻島は得意だし、我慢が出来なければすぐに大好きなそれを腹の奥に収めようと跨ったっていい。土台セックスを目的に会う約束をしているから、中は既に拓く準備ができている。
腹を満たすためにもう少し、硬さを育てようと擦る巻島の手首を掴まえて咎めるように男が笑った。

「答えになってないよ。ああいうのが好み？」
「いいショ、別に。今そんな話……。」

折角出来あがった体でいるのに、こんな風に唐突に後輩の名前を持ち出されて巻島は熱の下がった目をした。ふてくされて突きだす唇の端にご機嫌伺いのキスが降る。
セックスの最中に日常の、特に学校生活のことを持ち出されるのは巻島は苦手だ。これ以上同じ話題を望んでいない顔をあからさまに、そういうんじゃねぇヨ、と返した声にも剣が混じっていた。

「祐介は女王様タイプだからなぁ…。ああいう手垢のついてない感じの男の子を躾けちゃうのが堪んないとかさぁ。」
「だから違ぇって言ってんショ！」

　ムキになったような声を出してしまったのは、巻島の意図しないところだった。
やけっぱちにホテルの固い枕を掴んで投げつけると、子供っぽい態度に苦笑が返った。

「怒るなよ、祐介。羨ましいんだ。可愛いよな、後輩って。目なんかキラキラさせてお前に憧れてしょうがないって感じだった。なんか。そう、こんな風。『巻島さん！』」
「……。」
「巻島さぁん。……似てる？」
「…オメーそれ、次やったら死刑っショ。」

　しかもそんな似てねェしヨ。高い鼻の先で吐き捨てながら、けれど巻島は小野田の疑いのない犬の目を思い浮かべて勃起していた。性欲は無分別だ。舌打ちをする巻島は誤魔化すように、わざと焦れたふりをして「早く挿入れろヨ」と抱きつくとそれきり、もう今日は口を利かなかった。
きっとあとで自己嫌悪で死にたくなる。無分別な性欲は、過ぎてしまった後には死にたい思いを起こさせて、巻島に嘔吐を催させる。それで、男を先に帰したあと巻島はいつもトイレでひとり吐いてから部屋を出るのだ。それがいつものことだった。

END
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		</content:encoded>
		<dc:subject>-</dc:subject>
		
		<dc:date>2014-10-05T21:38:47+09:00</dc:date>
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		<title>下書き</title>

		<description>　15歳



　切れ味の鋭い、そんな感…</description>
		<content:encoded>
			<![CDATA[ 　15歳



　切れ味の鋭い、そんな感じの平手だった。俺は打たれた筈なのになぜか、切れた、と思って頬を押さえた。
当然血が出ているわけもない。

「……ごめんなさぁい。」

　思ったよりも甘えた声になってしまったことに自分で驚いてしまった。
東堂さんは厳しい顔をして唇を引き結んでいる。

「ね、怒ってます？」

　東堂さんは裁定を下す厳かな口ぶりで俺のことを「クソガキ｣って言った。
 ]]>
		</content:encoded>
		<dc:subject>-</dc:subject>
		
		<dc:date>2014-09-15T16:23:48+09:00</dc:date>
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		<title>ゆりかごは前に進まない（新荒）</title>

		<description>「セストリエーレの最速屋がァ、なんで免…</description>
		<content:encoded>
			<![CDATA[ 「セストリエーレの最速屋がァ、なんで免許持ってねェんだヨォ！」
おかげでレンタカーを借りる羽目になった。ダッセ、俺が吐き捨てると新開は変わらず飄々としていて、形ばかりに悪いなと口にした。

「あっちじゃ最速、とはいかないよ。」
「アッソ。」

　大学の途中で新開がイタリアに渡って2年。向こうでアマチュアレースに参加しながら、コンタクトを取り続けていたプロコンチームに外国人選手の枠が空いて、今シーズンから契約選手として走ってる。
俺が有料チャンネルとネットの書き込みで知った全部だ。調子よくやっていると思っていただけに、新開からあんな電話がかかってきてひいている。俺と死にてぇって？

「……靖友は相変わらず運び屋だな。」
「ハッ！」

　だからって天国まで運んでやる義理は俺にはねェんだ。そう言いかけて、結局は口にしなかった。ここまできて、今更だ。代わりに目線で促して荷物を開けさせる。

「ダッシュボードん中。」

　俺に促されてダッシュボードの黒い蓋をあさる新開が、すぐに、内服薬の印字がされた封筒を見つけて取り出した。アルミのシートをつまんでカサカサと振って見せる。

「よく寝れる？これ。」
「俺ェ、不眠症患ってんのォ。そんで医者から出されるヤツ。」

ヒュウ、とおおげさに新開が口笛を吹いた。

「効きそうだな。」


　わざと明るい口ぶりに無理をしているな、と思った。大体こいつは臆病で、変に繊細なんだ。
ペットボトルの水で薬を流し込むのを見ていると、新開の顔が近づいて案の定キスをされた。口移しで順番に受け渡される錠剤とぬるまった水は正直飲みにくいと思ったが好きにさせた。

「靖友…靖友…。」
「窓、塞ぐ前に寝ンなよォ？」
「うん。」

　ガムテープで最後の隙間を埋めると、エンジンを掛けた。待ちかねたように新開がシートを倒して上に覆いかぶさってきて、こんなときに、俺はこいつとしたセックスを少し思いだした。

「運んでくれよ、靖友。オレを、遠くに。」

　どっかで聞いた様な台詞だ。しがみ付く新開の体温は薬のせいなのか眠りかけているからかやけに熱く苦しかった。

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		<dc:date>2014-07-23T12:41:36+09:00</dc:date>
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		<title>カーテン（坂山）</title>

		<description>　小野田が病室を訪れたとき、真波は彼の…</description>
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			<![CDATA[ 　小野田が病室を訪れたとき、真波は彼の取り巻きの女の子たちによって持ち込まれた花やぬいぐるみに埋もれるようにして眠っていた。足の裏のところに『はやくよくなってね』と丸みを帯びた文字でメッセージの書かれた栗毛のくまのぬいぐるみに、真波は片頬を寄せるようにしている。白い部屋は少し饐えた臭いがして小野田はそっと忍び足で歩いて行って窓を開けてやった。病気というのはよく分からない。この間まであんなに楽しそうにペダルを漕いでいたのに。
 寝息を立てる真波の手には携帯ゲーム機が電源の入ったまま握られていて、遊んでいる途中で寝てしまったらしかった。風に波打つ草原のグラフィックが、ただじっと画面に映っている。

 「…坂道くん？」

 　やがてまだ半分眠りに沈んでいるような声で真波が小野田を呼んだ。窓を開けたことで部屋に流れ込んだ風が真波を起こしたのかもしれない。ごめんね。寝てたのに、邪魔しちゃった。小野田は少しうろたえた様にそう言うと、開け放した窓をどうしようか手を右往左往し、結局はそのままにした。窓辺からはぬるまった心地よい風が、小野田がいましがたやってきた廊下を目指して流れていく。

 「…ううん、いいよ。とっても退屈だったから。」

 　上体を起こすと真波は首を伸ばして、くんと風を嗅ぐようにした。眠たそうではあるが穏やかな真波の様子にほっとして小野田も話しかけることができた。

 「具合はどうなの、真波くん。」
 「うん、こうして寝てればね。痛くも苦しくもない。」

 　苦しくない、と聞いて小野田はよかったと相槌を打ったが真波は浮かない様子だった。軽率だったろうか。本当は具合の悪いのを堪えていて、余計な心配をさせまいと気を遣ってそんな風にいったのかもしれない。そう思って小野田が少し焦りはじめたところで、ようやく口を開く。
 　生きてるって感じがしないよ。
きょとんとする小野田を置き去りに真波は喋り続けた。

 「苦しい方が好きだな。酸欠で苦しくって、こめかみのところで血管がどくどく言うのが分かるんだ。生きてるって実感する。」
 「そ、そう、なんだ…。」
 「…しめて。」

 　突然真波が言ったので、小野田はぎょっとした。パジャマの襟首を広げる真波は明らかに自分の首を示していたし、白い首にはもう既に誰か、言うことを聞いてやったような痕があった。小野田は真波の交友について詳しくない。けれど、ベッドの上にはたくさんのお見舞いの品があった。こうして訪ねてくる人間すべてにねだるのだろうか。生きている気がしないから。

 　しばらくの沈黙ののち、小野田は真波の言うことがまるで分からなかったというふりをして「寒いよね」と笑い、それからそっと窓の方を閉めた。 ]]>
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		<dc:date>2014-07-14T23:37:03+09:00</dc:date>
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		<title>僕の黒猫（木花）</title>

		<description>　猫を抱いていた。俺からすれば、そうだ…</description>
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			<![CDATA[ 　猫を抱いていた。俺からすれば、そうだ。本当は腕の中を嫌がってしきりにもがくその体に両手いっぱいでしがみ付いていた。おおむね黒い毛並みのその猫は鼻面と額のところだけ白くって眉毛のようなおかしな模様があった。

　人気の無い家の中は寒くて暗い。居間に掛かった振り子の時計ががらんどうの家にぼーんと低い音を鳴らすのが何故かたまらなく嫌だった。６度鳴ったので今６時だ。
　もうすぐ裏の畑から祖母が夕飯の支度をしに帰る。ひとりでいるのはほんの１時間か２時間で、学校から帰えり祖父母がその日の野良仕事を終えるまでの間だった。それでも寂しいものは寂しい。なにしろほんの子供だった。家の周りで猫を捕まえると、年寄りと子供だけのこの家に生き物がいるのが嬉しくて俺はそれを連れ帰って抱いていた。
　猫のほうはちっともなついてなんかくれなくて、小さな体で一生懸命に俺を拒んでいたが。

　思いのほか力が強くて爪を立てられるたび泣きそうだ。うっ、うっ、と苦しげに呻きをもらす猫を殆ど必死に抱きしめている。
手のひらがどんどん汗ばんで、握り締められる猫の毛並みもぐったりしたのでかわいそうだなと俺は思った。耳の付け根に唇をつけて、謝るみたいに口にしていた。

「もう少し、もう少しだけだから…」

　悲鳴のようにきつく猫が鳴いて、俺の頬に爪を

　

　気がつくと畳の上だった。
　胸を押し返す強い力があって、見下ろすと床に抑え付けるように俺が誰か押し潰していることに驚愕した。黒い前髪が汗で湿っている。花宮、殆ど反射で名前を呟くと俺はそこでようやく俺が大人の帰りを待つ９歳の子供でないことを思い出した。さっきまでここで子供の頃の話をしていた気がする。
　どうしてか、頬がじんじんと熱を持って痛んでいた。殴られたのだ。俺が呆然として見下ろすと花宮は酷く吃逆して泣いていた。

「なにがもう少しだけだ！ぶっ殺してやる！こ、殺してやる…っ」

　怒りで顔をぐしゃぐしゃに歪めて、花宮が俺を詰る。途切れ途切れに花宮が息を詰まらせるたび、締め付けられるような奇妙な心地よさが下腹部にあった。得体の知れない快感に俺が背中を丸めると、どうしてか勃起している俺の性器は花宮の尻を穿っていた。見ているだけでも気持ちが良い。思わずそこで射精した。花宮の啜り泣きがいっそう酷くなる。遠くで居間の時計が半を知らせるのにひとつ鐘を鳴らして、すると俺はもう今がいつなのか曖昧になってしまう…。
俺は猫を抱いていたのに。

「…猫は？」

　花宮は答えず、血が出るまで強く俺の腕に爪を立てた。 ]]>
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		<dc:date>2014-03-05T23:04:45+09:00</dc:date>
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		<title>海岸通り（黒バス/青今）</title>

		<description>　海が見たい、と言うので彼女かよとから…</description>
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			<![CDATA[ 　海が見たい、と言うので彼女かよとからかったらいつも薄く笑んでいる顔が少し強張ったようになったので、また失言をしたのだと気づかされた。薬指の指輪を外し忘れて来たのもそうだ。待ち合わせに来てしまった後で気がついたから、今更取り繕えなくて左手をコートのポケットに入れたままでいる。

「そのよう気が利かんとこがかわいいわ」

　沿岸が近いから風が強い。車を降りると途端に強風で前髪が荒らされるのを困ったように指先で抑えながら今吉さんは言った。俺はなんとも答え難いから風であまり聞こえていないふりをしている。
　新宿から厚木市までは高速を使って1時間半か、もう少しかかったかもしれない。ペーパードライバーだと言っていた割に特に危なげもなくここまでたどり着いてみせたあと、緊張したと言って今吉さんは笑った。なにをしても器用なのと顔色に表れないのは学生の頃から変わりない。厚木ICを降りたあと途中のコンビニで缶コーヒーを2本買った。

「こっから先は交替な。」

　海見たいし、と今吉さんが車のキーを俺の前に突き出すので受け取るために仕方なく、ポケットから手を出した。俺が気まずいと思っているのを見透かしているように今吉さんはこんな日に指輪をつけてきた俺になにも言わなかった。
　物分りがよくてむしゃくしゃする。指輪の相手と、俺が結婚すると言ったときもそうだった。俺は今吉さんと何度も寝て、今吉さんが俺を好いてるのを知っていて他の女と結婚するのに、今吉さんは俺に何も言わない。代わりに最後のわがままだと言って出てきた言葉だって「海が見たい」そんなものだった。もっとしがみ付かれれば結末は違っていたかもしれない。
　少し乱暴にドアを閉めて、俺が車に乗り込むとすぐに今吉さんも隣のシートへ乗り込んできた。

「海って、どこ。」
「どこでもええ。海は海や。」

　どこか投げやりな風に言った割りに今吉さんは、助手席に座ると地図を捲り、ここからほんの数キロで突き当たる国道がずっと海沿いを走ると調べてくれた。

　海岸通りは海に沿った立地のせいで妙なカーブが多く運転のし辛い道が続く。ペーパーというわけでもないがそれほど車に乗る機会も多くないのでどうにも口数が減った。交差点を２つ越えたあたりで車線が増えるとそこから整備の済んだ道が続いてようやく一息つけるようになる。俺の気が緩んだのを察してかそれまで窓の外をぼんやり眺めていた今吉さんもそこで声をかけてきた。

「今日はよう来たな、青峰。」

　海はもういいのか、フロントガラスに向き直る今吉さんの横顔はなにを考えているのかわからない。道幅が広がり、前後に走る車もまばらだったので俺も横目にこの人の表情を盗み見たり、言葉を交わす余裕があった。

「最後の頼みって言われて無視できねぇよ、俺だって。」
「はは、殊勝やの！青峰にもそないな気持ちがあるんか。」

　声をたてて笑う言葉に期待されていないのがありありと分かる。信頼が薄いのは半分は俺の自業自得だろうが、もう残り半分は今吉さんの達観しすぎる癖の所為だと思う。

「最後やと思ってワシがなにするか分からんとか、全然考えんかったん？」
「アンタが、なにするって言うんだよ。」
「何て、そりゃ心中とかな。」

　心中、俺が口の中で繰り返すと今吉さんはいたって軽い素振りで、それやそれと相槌を打った。それからシートに深く上体を凭れて目頭を指で抑える。疲れた時に見せる仕草だった。
　ちょうど信号に差し掛かってブレーキをかけると自動でアイドリングが停止してエンジン音が消える。

「お前を殺して、ワシも死のうかな。」

　珍しい、と思って驚いた。今吉さんが俺に対してそういうエゴめいたことを口にするのはこれが初めてだった。本心なら。俺が思わず黙ってしまうとそれきり今吉さんも口を噤んだので車内にはしばらくおかしな沈黙が生まれた。

「…死にてぇの？俺と。」
「ふ、冗談や。」

　今吉さんは力無くそう言って笑ったが、俺は黙ってアクセルを踏む足に強く力を入れた。足元のマットにペダルがぴったりと付いてしまうまで深く、エンジンが再始動して車体が十分な速度を取り戻してもそれをやめなかった。

「青峰？」

　ぐっとかかる加速の重力に驚いた今吉さんが戸惑うように俺を振返ったがそれを無視した。構わずペダルを踏み続けるとやがて振り切れる速度計の針を見て、今吉さんは徐々に状況を深刻に捉え始めたようだった。もう一度鋭く名前を呼ばれる。今吉さんが体を乗り出して俺の足の腿のあたりを強く叩いた。車体が軽いからスピードを出すと道路の凹凸にあわせて大きくバウンドする。前を走っていた車が警戒するようにウィンカーを出してすぐ、道をあけた。


「青峰！なにしとん…阿呆っ、危ないわ！」

　むちゃくちゃな走行をやめさせようと俺の膝に手を置いている今吉さんの手が小刻みに震えて、呼びかける声が段々涙声になるのがわかった。怖がっている。それに気づくと少し舞い上がってしまう。思えば俺はこの人に対して昔から、泣かれることに喜ぶような、割とそういうところがあった。子供っぽい振る舞いをもっと早く顧みることが出来ればよかった。
　しばらくは追い抜いた車にやたらにクラクションを鳴らされたが、そのうち異様に思われたのかあたりの車がこぞって路肩へ避けて止まっていくのが快感だった。


「最後なんだろ。アンタがそうしたいなら何でも言うこと聞いてやるよ。」

　息を呑むような気配があった。沈黙はそれほど長くなかったようにも思えるし、殆ど永遠にも感じた。今吉さんは口を開きかけ、すぐに締め付けられたような顔をして小さく呻いた。
　言えよ、頼むから。物分りが良すぎてむしゃくしゃする。俺が祈る気持ちでハンドルを握りしめていると、やがて息を吐いた今吉さんが「ええの？」と小さく呟いて、安心した。

「死んで」

　ガードレールの先は海だ。俺は求めることをしない今吉さんの最後の頼みぐらい、いくらでもなんだって聞いてやれると思った。
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		<dc:date>2014-02-22T21:16:04+09:00</dc:date>
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		<title>部屋とYシャツと結末　(弾丸論破/葉桑葉・パラレル)</title>

		<description>即興二次（お題：部屋とYシャツと結末）
…</description>
		<content:encoded>
			<![CDATA[ 即興二次（お題：部屋とYシャツと結末）

　普段使っているアパレルショップでマネキンの着ている雰囲気がよかったから、大きめのシャツを買った。
いつもより２サイズも大きなものを選んだから店員が気を利かせてプレゼント用の包装紙を出してきたが俺は苦笑いでそれを断った。
これはこの間の台風の日に、雨に降られて犬みたいにうちに逃げ込んできた葉隠の為に買ってやったんだ。
俺が玄関を開けるなり、勝手に部屋に上がりこんで勝手に風呂を使ったあと、俺のクローゼットの中身を全部ひっくり返しても自分のサイズに合う服がなくて寒がっていた。

「桑田っちは小さすぎんべ」

　葉隠は馴れ馴れしかった。その日、葉隠が俺のうちを訪ねてきたとき、俺は葉隠とは高校を卒業して以来６年ぶりの再会だったが、会うや否やこんな感じだった。
なにしに来たんだ。散らかされた服を拾いながら俺が不機嫌になってそう訊くと、葉隠は笑って、なにが楽しいのか声をあげて笑って俺を羽交い絞めにして抱きついた。
久しぶりだと思った。そんな風に肌の触れ合う悪ふざけは高校のとき以来だ。高校のとき、俺は既にゲイだったから一番身近にいたこの男に告白して、それでふられたんだった。葉隠を選んだのは、懐っこくて可愛かったのと体が一番出来てたからだ。クラスメイトの中でひとり２年ダブって年上だった葉隠は普通に大人の男の体つきをして格好よかった。
俺は葉隠とセックスがしたかったんだと思う。

　葉隠に抱きつかれて俺はとっさにそういうことをぐるぐる思い出した。葉隠は服を着ていない。意識するなり頭がカッとなった。
俺はその瞬間すごくやばいと感じて、葉隠を部屋から追い出そうと思った。出て行け、と本当にもう少しでそう言うところで葉隠はそれを察知したんだろう。
甘えた声で俺の首に腕を回し絡めて、言った。

「暖まりてぇよ」

　そんで俺はもうだめだった。


　セックスをしたあと葉隠は、俺にまた来ていいかと訊いた。頬に口をつけられると剃刀をあてていない無精ひげがちくちくした。
嬉しくないふりが俺は上手く出来ていたのか分からない。でも多分見透かされていたんだろう。俺がセックスに飢えてる可哀想なホモ野郎だってことは。
通帳といくらかの現金がなくなっていることに気付いたのは俺が浮かれてあいつの為にシャツなんて買ってきた後だった。
　プレゼント用の包装を断ってよかった。
ブランドの紙袋から不織布の保護袋を取り出して、ぐしゃぐしゃに丸めると俺はそれを投げ捨てた。新品のシャツは狙い違わずまっすぐにダストボックスに飛んでいくと袖の端だけ未練たらしく縁に垂らして、後は全部ゴミ袋の中に落ちた。 ]]>
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		<dc:date>2013-10-17T10:30:00+09:00</dc:date>
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		<title>魚の子（free/真琴遥）</title>

		<description>　思えば昔からおかしな位、水に漬かりた…</description>
		<content:encoded>
			<![CDATA[ 　思えば昔からおかしな位、水に漬かりたがった。
　水に入るのが大好きで、４月のプールに飛び込んで俺を困らせてた幼馴染のハル。学校のプールが使えるようになるまでは浴槽に水を張って何時間でもそこにいた。

　その時点でもうおかしかったのかもしれない。でも本当に常軌を逸してきたのは最近のことだった。いや、時間をかけて進行してきた結果なのかもしれない。
　　高校を卒業してからはいつ訪ねていってもハルは浴槽の水の中にいるようになった。俺もハルも水泳部だったから、はじめは部活をやめてしまって寂しいんだな、ぐらいにしか思わなかった。あるとき俺がいつ来ても風呂から出てこないハルに焦れて、浴槽から引き上げるとハルは酷く苦しそうにもがき始めて切々と水を欲したのだ。畳の上を這うハルは魚のようだった。あっけにとられる俺を振り切って風呂場に駆け戻り、ほっとしたように水に頭を沈める姿なんて、特に。
　そうして段々水の中にいることが増えていって二十歳を越えるころにはハルはもう１０分と水から上がれなくなってしまった。


　大学が終わるとハルの家に向かう。学校から最寄の駅まで歩いて10分、地元の駅までそこから電車を乗り継いで2時間半、かかる。途中のコンビニでお茶とお弁当を買って、またしばらく歩く。
　日の暮れた道をずっと歩いていると冷えた空気に鼻の奥がつんと痛くなる。冬が近づいているんだ。

　家に辿りつくと真っ先に浴室を目指した。玄関を開けたとき、水の跳ねる音を聞かなかったとしてもハルがここにいるのは分かっている。

「ハル、きたよ。」

　声をかけながら覗き込む。タイル張りの浴室は痛いくらい冷えていた。ハルがひとりで住んでいる昔ながらの古い日本家屋には当然、浴室暖房なんて付いていない。
　冷え切った風呂場の浴槽にやっぱり、ハルはいた。と言うか、もうしばらく、浴槽の外にいるハルを見ていない。

「ハル、寒いだろ。出ておいで。」

　浴槽の縁に掴まるハルは前髪を重く濡らしながら黙って俺を見上げる。紫色の唇、寒さで歯がカタカタ震えているけど表情はない。もう殆ど人の姿を借りた魚みたいだった。
　浴槽の栓を抜いて新しくお湯をはる。お湯の溜まるのを待つ間、ハルの冷えた身体をタオルでくるんでやっていたが、30cmも浴槽が満ちると乾いたように喉を動かして水中に戻りたがった。

「もう少しかかるから待とう、ハル。」

　タオルから抜け出そうと身を捩るハルを無理やり後ろから押さえる。もうしばらく人肌で暖めてやりたかった。ハルの体はまだ冷たい。
　追い炊き機能の付いた風呂釜にすればいくらかマシだろうか。だけど水場の工事は酷くお金がかかると聞いたような気もする。
それに結局それは根本的な解決には至らない。

　しばらくして水面を見て思案しているとようやく体温を取り戻したかハルが口を開いた。ちっとも不思議なことじゃないのに、ハルが人の言葉で俺になにか言うのがまるでおかしなことみたいだった。

「20歳越えたらただの人だって、祖母ちゃんが」
「うん」

　おかしなくらい水の中が好きなハル。泳ぎが上手いハル。最初から人間じゃないみたいだった。

「俺はいつ人の子になるんだろう。」

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		<dc:date>2013-10-16T21:32:39+09:00</dc:date>
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		<title>マグダレン（エメイン）</title>

		<description>即興二次お題：記憶の中の宗教　制限時間…</description>
		<content:encoded>
			<![CDATA[ 即興二次お題：記憶の中の宗教　制限時間：1時間

　土曜日の朝はどうしても長くベッドに止まりたくないようだった。
朝方、それこそ息を殺すように静かにシーツを降りようとするインゴの腕をつかんで僕がベッドに引き戻すと、インゴは不機嫌な顔をして「寝ていなさい」と一言命令を下した。
仮定法を使う文法なんてまるで知らないって感じだ。

「もちろん、そうするさ。インゴも一緒なら。」

日曜日の午前は安息日だ。
市街の殆どのカフェや百貨店はシャッターが降りているし、鉄道は全て午後13時まで運休と決まっている。だから住民の大抵は遅めの朝食を取りながらテレビを眺めたり居汚くベッドに留まり続けたり、インゴのように敬虔なら教会に行ってお祈りを捧げたりする。

「ワタクシはミサに参加します。11時には戻りますからそれから一緒に昼食をとりましょう。」
「お断りだよ。君は午後まで僕とベッドで過ごすんだから」

握る力を強めると、エメット、と咎める響きでインゴが僕を呼んだ。
-僕は神様を信じてないんだ。

構わずインゴの体を両腕で絡めとってシーツの上に押し倒すとインゴは僕の前髪をちぎれそうな位強く引っ張った。

「痛い、」
「お前の為に祈ってるのに」

僕を責めるインゴの目付きは好きだった。

「それって僕が神様にお願いするしかない位駄目だから？」
「お前が地獄に落ちそうだからですよ」
「多分、祈ったって僕は地獄に落ちるからそれならインゴの邪魔をするよ。ひとりぼっちは寂しいからさ。」

僕は聖書を覚えてないないから確かなことは言えないけれどインゴの信じる宗教は同性愛を禁止していたと思う。
だから僕はお祈りにいこうとするインゴを引き留めて、インゴと姦淫をするんだ。万が一、地獄があったときの為に、念には念を入れて。
インゴはそれで怒りはしない。お互い自分の寝室とベッドを持っているのに一人寝には広すぎるセミダブルのベッドを買っているのは、結局のところ快適にセックスをする為なんだから。


「大丈夫ですよ、娼婦ですら赦されたのですから…」




キスの前にインゴは窓を開けた。

「…せめて、最後のお祈りだけはワタクシも参加したいですからね」

あのアーメンって言うやつか、と僕はぼんやり思い浮かべた。ここから教会は近いから説教の中身は無理だとしても、そのあとの讃美歌に合わせるオルガンの音はよく聴こえる。
僕にはそれが信心だとは到底思えなかったけれど。





　セックスの最中で教会のオルガンは鳴り出した。インゴはハッとしたように両手を胸の前で組もうとしたけど僕がそれをさせなかった。手首を抑えてめちゃくちゃに腰を使うとインゴは乱れて泣き出す寸前だった。あ、あ、と短く声が途切れて射精が近い。イクと短く叫ぶ代わりに「神様」とインゴは言った。
僕が聖人ならこんな淫蕩は許さないけど、インゴの神様はどうだろう。
僕は殆んど覚えていない聖書の記憶から赦された娼婦の名前を思い出そうとしていたよ。
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		<dc:date>2013-10-08T20:33:08+09:00</dc:date>
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